2020/8/17 第26回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演 ~心の機微を感じる表現に魅了され、滑稽な舞踊も堪能~

公演の概要

公演名第26回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演
日時2020年8月17日(月) 13時開演
会場国立劇場 小劇場
作・指導・
振付
(敬称略)
「修禅寺物語」(しゅぜんじものがたり) 一幕三場
作:岡本綺堂
監修・指導:中村時蔵
指導:坂東彌十郎
「茶壺」(ちゃつぼ)長唄囃子連中
作:岡村柿紅
振付:藤間勘祖
「傾城反魂香」(けいせいはんごんこう) 一幕 土佐将監閑居の場
作:近松門左衛門
監修・指導:中村梅玉
指導:中村歌女之丞
出演
(一部)
(敬称略)
「修禅寺物語」
面作師夜叉王:中村橋吾
姉娘かつら:中村好蝶
妹娘かえで:片岡市也
かえでの婿春彦:尾上松三
金窪兵衛尉行親:尾上貴緑
修善寺の僧:尾上音幸
下田五郎景安:大谷桂太郎
源左金吾頼家:中村梅寿
「茶壺」
熊鷹太郎:市川升三郎
目代某:市川米十郎
田舎者麻胡六:中村橋光
「傾城反魂香」
浮世又平 後ニ土佐又平光起:市川新十郎
土佐将監光信:市川新次
狩野雅楽之助:市川新八
土佐修理之助:尾上音蔵
将監北の方:中村竹蝶
又平女房お徳:中村梅乃
上演時間(実際)第1部 64分(休憩 27分)第2部 39分(休憩 28分)第3部 85分 合計 243分

詳細は、公式サイトをご覧ください。

公演のおススメ度

おススメ度5 out of 5 stars
・若い歌舞伎俳優の皆さんの歌舞伎を堪能できます。
・3部構成で、3演目を一度に楽しめます。
初鑑賞での
おススメ度
4.5 out of 5 stars
・歌舞伎を手軽に鑑賞することができます。
・3部構成3時間超の公演ですので、初鑑賞には長めかもしれません。
どんな人に
おススメ?
・歌舞伎がお好きな方、興味のある方におススメです。
・若い歌舞伎俳優の皆さんのフレッシュなお芝居に興味のある方も楽しめます。

ポイントごとの感想

演目・「修善寺物語」では、面作師の職人としての気概、側女としての心意気、などが心に響いてきました。
・「茶壺」は、狂言を原作とした舞踊であり、滑稽なやり取りと踊りを楽しめました。
・「傾城反魂香」からは、絵師の苦悩とそれを支える妻の深い愛情、師匠の芸と名に対する誇りが、じんわりと伝わってきました。
団体・
キャスト
「修善寺物語」
・夜叉王役の橋吾さんからは、職人としての気概、誇りが伝わってきました。
・姉娘かつら役の好蝶さんからは、気位の高さだけでなく、側女としての心意気も感じられました。
・頼家役の梅寿さんの、キリっとした振舞いは見事でした。
「茶壺」
・麻胡六役の橋光さんの、飄々とした滑稽さには目を引かれました。
・熊鷹太郎役の升三郎さんの、悪さの表現と、足さばきが魅力的でした。
・目代役の米十郎さんの、観ていて幸せになるお芝居は見事でした。
「傾城反魂香」
・又平役の新十郎さんの、表情や動きから伝わってくる苦悩、一本気さが見事でした。どもりの表現は難しいと思いますが、自然に演じられていました。最後まで目が離せない魅力がありました。
・お徳役の梅乃さんの、しっかり者ぶり、キリっとした佇まい、響く美声に魅了されました。又平とのやり取りには、涙を誘われました。
・土佐将監光信役の新次さんからは、芸と名に対する誇りが、ずっしりと伝わってきました。
劇場・それほど広い劇場ではありませんので、舞台のエネルギーがそのまま客席に伝わってきます。

全体の感想

若い歌舞伎俳優の皆さんの歌舞伎3演目を一度に楽しめます。
「修善寺物語」からは、登場人物の心意気が伝わってきました。夜叉王役の橋吾さんから伝わってくる職人としての気概、誇り、姉娘かつら役の好蝶さんから感じられる側女としての心意気、頼家役の梅寿さんのキリっとした振舞いは、見事でした。
「茶壺」は、狂言を原作とした舞踊であり、滑稽なやり取りと踊りを楽しめました。麻胡六役の橋光さんの飄々とした滑稽さ、熊鷹太郎役の升三郎さんの悪さ表現と足さばき、目代役の米十郎さんの観ていて幸せになるお芝居が、印象的でした。
「傾城反魂香」からは、絵師とそれを取り巻く人の心情が感じられました。又平役の新十郎さんの表情や動きから伝わってくる苦悩、一本気さ、お徳役の梅乃さんのしっかり者ぶり、キリっとした佇まい、土佐将監光信役の新次さんの芸と名に対する誇りが、ずっしりと伝わってきました。
心の機微がじんわりと伝わってくる、お勧めの公演です。

管理人 について

これまでに多くのジャンルの舞台を鑑賞し、気が付けば1,500公演を超え、多い年には250公演を鑑賞していました。現在では、演劇、ミュージカルから、オペラ、バレエ、そして、歌舞伎、文楽、能・狂言も鑑賞するようになりました。最近では、クラシック・コンサートにも興味を持ち、足を運び始めました。 研究や仕事の合間に舞台を鑑賞することにより、気分が一新され、より研究や仕事がはかどった気がします。時間を融通して劇場へ足を運ぶことにより、心豊かになりました。
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